こんにちは。ゆとり屋の絵描きの方です。
ゆとり屋を始める前は水彩画はほとんど描いたことがなかったのですが、5年もやっていると絵の具の種類が貯まっていくものです。その数、あれよあれよと150色ほど。ここまでたくさん増えると、メーカーや色の管理もちょっと難しくなるものです。
そんなわたしのような水彩沼の住民にぜひおすすめしたい、「水彩絵の具めっちゃあるからなんかいいまとめ方ないかなー」とお探しの方にピッタリな、ハーフパンを使ったオリジナルパレットの作り方を2回にわたって紹介します。
今回はパレットを作る前の段階のお話、「水彩画家、パン職人になる!」の巻です。
まずはパレットの種類を検討しよう
水彩絵の具を使う際に必要なパレットですが、超ざっくりで3種類あります。
- 折り畳み式のパレット
- 補助パレット
- 固形絵の具(ハーフパン)パレット
①折り畳み式のパレット
こちらは水彩パレットの代表格です。上記はプラスチック製のパレットなので、それこそ「小学校で使っていた!」と言う方が多いかと思います。軽い・使いやすい・100円ショップでも手に入るetc、利点が多いので始めたての方はまずこのパレットからスタートするのをお勧めします。
ちなみにわたしが似顔絵実演の時などに使っているのはこちら↓。
アルミ製の折り畳みパレットで、39つの仕切りがあるタイプを3つ持っています。これだけ仕切りがあれば、よく使う色から影用、同系色の鮮やかなもの~シックなものetc、たくさんの色を乗せることが出来るのでかなり重宝すると思います。39仕切りのわりにコンパクトで、アルミ製なので洗いやすいのもポイントです。混色スペースはやや小さめ。
使い方ですが、そのまま絵の具を入れて使い終わったら洗う…というのは水彩ではもったいない使い方。水彩絵の具は固まった後も水につければ絵の具が溶けて何回でも使えます。
プラ製のものもアルミ製のものも、仕切りの中に絵具を出して数時間~数日置いて固め、使う時は絵の具を水を含んだ筆で溶かして色を塗ります。
なお「絵具の色は30色前後で(またはもっと少なくても)事足りる」と言う方は折り畳みパレットで十分水彩画を楽しめます。
②補助パレット
①の折り畳みパレットの混色スペースでは足りない、たくさんの絵具を溶くときに使うパレットです。わたしは広い面を塗ることがあまりないのでこのタイプのパレットは持っていませんが、必要な際はしょうゆ皿で代用しています。
③固形絵の具(パン)専用パレット
今回の記事で紹介するのがこちらのパレットです。写真の小さな四角いものは”パン”と呼ばれるプラケースで、好きな絵の具を詰めて固め、固めた絵の具を筆の水で溶かしながら使うものです。このパンをパレットに入れて完成です。
こちらの利点は携帯のしやすさやたくさんの色の保管力ですが、なんといってもパレット内で色のお引越しが出来るところが最大のメリットです。個別ケースのパンに入れる一手間をかけるからこその至福です。気分やテーマによって使いたい色が変わる!と言う方にはもってこいだと思います。
では早速、パンを作りましょう
では水彩絵の具の沼住民様、大変お待たせいたしました。今回のパレット作りはまずはパン職人になるところから始まります。
早速ですが、ゆとり屋が用意したのはAmazon産のハーフパン200個です。
パンには3種類ありますが、よく使われるのはこの2mlのもの。画材屋さんで多く販売されているのもこの大きさです。3種類の中では真ん中のサイズで、画材専門店でないと購入は難しいです。空パンは画材屋さんですら置いていないこともありますので、手っ取り早いネット購入をおすすめします。
【今回使うもの】
空のハーフパン、絵の具、パンを並べるケース(仮のパレット)、ウェットティッシュ、まち針または爪楊枝
まずは移し替えが終わった状態の仮パレットをお見せします。
こんな感じで、ハーフパンの中に所持している絵の具を移し替えていきます。
移し替えはいたって単純。空パンの中に絵の具をニュっ!と絞り出します。
端っこが気になる方はまち針などの尖ったもので絵の具を隅に寄せる感じで伸ばしていきます。気にならない人はやらなくてもOK。
針は使ったあと必ずウェットティッシュで拭いてから次の色をツンツンしてください、色が混ざります。拭くときはなるべくウェットティッシュかキメの細かい布で!ティッシュだと毛羽が絵の具に混じるのであまりお勧めしません。使ってみて思ったのは、爪楊枝は拭いても前の絵の具の色が残りやすいのであまり使いたくないなーと言うところ。
お次に気を付けたいのが、パンの中に何色の絵具が入っているかをちゃんとメモしておくこと!です。使っていくうちに同じ絵具を追加したいなってなった時、何色が入っているか分からないと、結構…というか、かなり困ります。
わたしは仮パレットに並べる順での写真を撮っておいて、パンの中が乾いたらパンにメーカーの色番号などを記載します(シールやマステに書いて貼ってもOK!)。写真を撮る時は色名または色番号が分かるように撮りましょう✨ここの手順はなんでもOKなので、先にパンに名前を記載しておいてももちろんOK。わたしは流れ作業が好きなので、ぜんぶまとめまとめで作業します。
なんか変な液体出てくるんだけど…
絵の具を出すとき、画像のような明らかに絵の具とは違った色の液体が出てくることがあります。
これ、実は「糊」なんです。絵の具の色のもとになる顔料の粉を、この糊に混ぜて水彩絵の具にしています。絵の具の中には分離しやすい顔料がありまして、工場からわたしたちの手に届くまでにどうしても糊と粉が分離しちゃうんです。なので特に気にせずそのまま混ぜて使ってOKです。気になる方は糊が出切るまで、ティッシュ・お皿などの別容器に出すなどして処理してください。
なお、こちらの画像の糊はそこそこ茶色く変色しています。本当はもう少し透明です。あまり使わない色だったせいか、絵具そのものが劣化しかけています( ;∀;)このように糊の変色が見られると、混ぜても変な粘りが残る・色の伸びが悪いと感じる・水に溶けにくい──などの使いにくさを感じますので、諦めて新しいものを買った方が◎です。わたしは使っちゃいますけどね…シュミンケ高いのでww
乾かしタイム。
はい、手持ちのチューブ絵の具を移し替えました。もう1皿分ありますが疲れましたので今回はここまでw
これをホコリがつきにくく多湿ではないところで乾かしていきます。上の画像で仮パレットとして使っているこの透明な平ケースは100円ショップのセリアで手に入ります。
重ねられるので超便利。ハーフパンが50個みっちり入れられるので、収納力も美しさもばっちりです。
なんなら筆もちょうど収まる。神。
この重ねられるケースならホコリも入らなくてばっちりですご覧の通り、すでにオカメのパウダーがケースにくっついていますww絵の具にほこりが混ざるとあまりよろしくないので、このようなケースで重ねるか箱に入れて蓋をするか、または網戸の網みたいなものを上に置いて乾燥させていきましょう。
乾燥の時間ですが、色によって多少前後します。パンに絵の具をむにゅっと入れると厚みもあり乾きにくいので、2日は置いたほうがいいかなー。。。でもどうせ水に溶かして使うんで、自作ならガチガチに固まってなくてもいいと思います。野外スケッチで使いたい方は持ち運ぶときに垂れない程度には乾かしましょう。
次回はパンをパレットに敷き詰めるよ。
さて、長々とパン作りを行ってまいりましたが、次回は本番の「パレット作り」です。
作家の好みやスタイルがモロバレな水彩パレット。ゆとり屋のムフフなパレット、今からオタノシミニー٩( ᐛ )و