アナログイラストの難所ともいわれるスキャニング。
せっかく綺麗に描き上げても、スキャナーを通すと彩度が落ちたり紙の凹凸が気になったりで、結局デジタル補正に数時間かかる…挙句は原画と全然違う雰囲気になっちゃった(泣)
なんてこと、ありませんか?
特に水彩画は凹凸のある水彩紙を使うことが多いため、水彩の濃淡や柔らかいタッチをスキャンしてそのまま表現するというのがとっても難しいんです。
そんなお悩みが一瞬で解決できるかもしれない?!アナログ絵描きさん必見の神器、CCDスキャナを導入しました!
ちょっと大きめなスキャナーですが、その性能はいかほどか?実際に使ってみての感想、水彩イラストの比較をしてみようと思います。
そもそもCCDスキャナーってなに?
CCDスキャナーを使うまで知らなかったのですが、スキャナーにはCCD・CISの2つの読み取り方があるそうです。
わたしは機器には素人なので、
- CCD=本体が大きくて電源が必要で高い
- CIS=コンパクトで早い、安価
くらいしか感想が言えないのですが、EPSONのサイトに詳細が載っていました。
【EPSON よくある質問】
CISとCCDのスキャナーセンサーの違いを教えてください
専門的なことはよくわからんのですが、CCDは内部にミラーがたくさんついていてそれがあるからデータがきれいに出力できる!ってことですかね。
難しいことはさておき、早速使ってみましょう。
今回購入したのはEPSON GT-X830。CCDスキャナーの中では比較的手が出しやすいお値段です。セットアップはとても簡単、ドライブ入れてUSB刺すだけ!わたしにもできる!笑
紙の凹凸写っちゃう問題
ゆとり屋は基本、紙に水彩で着色のバリバリアナログイラストです。
よく使う紙はワーグマン、ホワイトワトソン、AVALON。どれもスキャナーを通すと紙の凹凸の影がはっきりと残るタイプのものです。というか、水彩紙ってだいたいデコボコしているので、スキャンの時にどうしても陰影が濃く残っちゃうんですよね^^;
こちらの画像は家庭用プリンターのスキャナーで取り込んだもの。イラスト発表だけなら紙の感じも残っていいのですが、グッズにした時だとグッズの質感とイラストの陰影部分が喧嘩をすることが多々。。。
なので、今まではその陰影を消すために二度スキャン(2回目を180°回転させてぴったり当てはめる)したり、Photshopを使ってちまちま陰影消しの作業をしたりしていました。イラスト描きの方でも、こういう方はとても多いと思います。下描きからデータ化まで、同じ絵を何回描くねんって感じです。
ではでは、CCDスキャナーの本気を見せてもらいましょう!
ちなみに使用している「家庭用スキャナー」はCANONのTS8230。プリンターにスキャナー機能も搭載されているもので、一般的な家庭用スキャナーと同じCIS式です。
中目の水彩紙
使用画材 紙/AVALON中目、絵具/ホルベイン
ん?( ,,`・ω・´)ンンン?
おおおおおおお、これはすごい!アップにした鳥さんのお肌が全然違うのが分かります。家庭用スキャナー(CIS)は背景も含め紙の陰影が出てしまっていますが、CCDは全体的につるんとしている!
そして何より、水彩絵具の色味がほぼそのまま再現されています。CANONはピンクがマゼンタっぽく出てしまっていたので、これは絵描きとしてとても嬉しい!
AVALONは中目でもそんなに凹凸がないので、ここで中目が荒目並みのでこぼこになっているワーグマンを使ってみましょう。
すんごい凹凸のある中目の水彩紙
使用画材 紙/ワーグマン中目、絵具ミジェロ
どあーーー!なんという差!!このイラストはたまたまコンビニスキャンもしていたのでそちらも比較に入れていますが、凹凸の無さや色の再現度はCCDスキャナーが最強です!
コンビニスキャンは凹凸が出なかったのはいいものの蛍光色っぽくなってしまって、黄色をよく使うわたしとしてはちょっと悩みの種でした。
この性能は嬉しい、すごい、まじで神。
細かい再現ももちろんGOOD
これだけ綺麗にスキャンできるんだから、もちろん細かい箇所の読み取りもばっちりです。
ドアップにしてみる
使用画材 紙/ワーグマン中目、絵具シュミンケ
このイラストは鉛筆線を水彩絵の具で縁取りしているんですが、鉛筆線の残りもちゃんときれいに写っています。家庭用スキャナーだとちょっとデコボコに負けてる感じがしていたので、これも合格。
このレベルだと「ちょっと適当にごまかしちゃえ☆」なんて描き進めた場所とかも完全にあらわになりますね。これは今後はより気を引き締めて作画しないといけません笑
色の具合
凹凸は解消されそうですが、次に問題なのが色味です。
黄色
使用画材 紙/AVALON中目、絵具/ホルベイン
インコは黄色い子が多いので、ゆとり屋の絵も必然的に黄色が多くなります。ので、めっちゃ黄色い画像持ってきました。
ホルベインのレモンイエロー、カドミウムイエロー、カドミウムイエローオレンジ、ブリリアントオレンジetc、黄色とオレンジめっちゃ使い込んでるシロハラインコとパイナップル。
目視に一番近いなと思ったスマホカメラでの画像を真ん中に、CCDスキャナーと家庭用スキャナーを比べてみました。
CCDは少しポヤっとした感じで、CISは赤みが強くなった印象です。ポヤっとしたのは後ほど説明する「設定」の影響かもしれません。
今までCANONのTS8230を使ってきてちょっと気になっていたのが、オレンジの赤味が強く出る/ピンク・赤がマゼンタっぽくなるってところだったので、個人的には解消されて嬉しいなというところではあるのですが、CCDも完全に再現できているとは言い難いかなぁという感想。
うーん、これは好みなのか…。
まぁこの辺はスキャナー設定を学んだり、最後は色調補正という手がありますので問題なし。陰影を消すより5億倍楽です。こんな調子で、いろんな色を比べてみます!
緑
使用画材 紙/AVALON中目、絵具/ホルベイン
こちら、好みの差でそこまで色の差はないなーなんて思いました。甘いかな?家庭用スキャナーの方が赤味を吸い上げいる感じがあるので、メロンの筋がはっきりしている印象。
青
使用画材 紙/ワーグマン中目、絵具ミジェロ
青系の子はあまり比較できる絵が残っていませんでした;ので、ちょっと青みは少ないですがブルーボタンちゃん。家庭用スキャナーは緑っぽい青になりました。
ワーグマンの凹凸に溜まった水彩絵の具も、CCDスキャナーだとなめらかにスキャンされています。これにはびっくりです。
赤
使用画材 紙/ホワイトワトソン、絵具/ホルベイン
おっと、これは大分違います。車の赤はキナクリドンスカーレットとピロールルビンを混色していて、原画は真っ赤という感じです。
CCDスキャナは現物にかなり近い色になってくれたので、これからは安心して赤を大塗りできますw
茶色
使用画材 紙/AVALON中目、絵具/ホルベイン
おおお、これも大分印象が違う!緑の箇所はあまり変わりませんが、キウイの皮がかなり違います。CCDスキャナーは下地に塗った緑もちゃんと吸い上げてくれていて、家庭用スキャナーは赤茶色っぽくなりました。
スキャンの設定
今回のGT-X830の設定ですが、デフォルトの全自動モードでスキャンしたら彩度バリバリの画像になってしまったので、ちょっとだけ設定変更。
スキャナーを起動させるとウィンドウが自動で出てきますので、そこの右上にある「モード」をポチ。
- 全自動モード
- ホームモード
- プロフェッショナルモード
が出てくるので、とりあえず全部やってみて好きなモードを使うことにしました。わたしが今のところ落ち着いているのは画像の設定です。
ちなみにモード別で比較するとこんな感じです。
モードを変えるだけでかなり印象が違います。わたしはプロフェッショナルモードにアンシャープを入れているので、全体的にふんわりとした感じになります。
この辺は作風や好みによって使い分けてみると面白そうです!
でも、お高いんでしょう?
今回購入したEPSON GT-X830ですが、ヨドバシ.comで¥32,480。10%のポイント還元があるので実質¥29,232。比較で使用した家庭用スキャナー(プリンター)のCANONのTS8230ですが、価格ドットコムで¥26,800(2021年5/13現在)。¥3,000の差でこの仕上がり差!
高いと思うか安いと思うかは普段の制作工程などで変わると思いますが、デジタル加工が苦手なわたしは「買って本当に良かった!お安いもんだぜ!」という感想です(もちろん財布は傷んでいる)。
GT-X830、これはおススメだ!
凹凸や色の再現など、いろいろ比較した結果。
やっぱCCDスキャナーってすごいんだね!早く買っとけばよかった!
と思ったゆとり屋です。
今回紹介したEPSON GT-X830以外にも、CCDスキャナーはいろいろな種類が出ています。お値段はピンキリですが、比較的買いやすい・性能抜群!なのがGT-X830かと思います。
とりあえず手元にある水彩原画はすべてスキャンしなおそうと思っておりますw
気になった方はぜひお試しあれ!